―――…日向が記憶と足を失ったあの日から。
あたしは何度願っただろう。
時間が戻ればいいのに。
もう一度やり直せたらいいのに。
だって願わずにはいられなかった。
もしも゙あの日゙がなかったら…日向は…って。
何度もそう、考えてしまったから。
でも…
「関係…ないんだよ」
「ひな…」
「…今、ここにいる。
それだけでもうさ…何も失ったものなんてないじゃん…?」
そう言った日向の目は凄く切なくて。
…涙が、出そうになった。
「アスリートは…もう不可能だって分かってる」
「ーっ…」
「…言われなくても分かるもんなんだよ。自分の足のことぐらい」