―――――「ヒナタの夢ってなぁに?」


「トップアスリート!」


「やっぱりね」


「やっぱりって何だよ」


「スポーツバカのヒナタにはそれしかないと思ってたよっ」――――





…ねぇ。
あの頃と同じ会話はもう…出来ないね。



だけどね、あたしは不思議と…






「あの頃に戻りたいとは思わない」


「…っ?」




心の中の言葉と、日向の発した言葉が重なった時。



…あたしは、顔を上げた。



「え…」


「…そうだろ、柚?」



夕陽に、日向の髪は柔らかなオレンジ色へと染められていた。



その優しい瞳に、あたしの姿がまっすぐと映っていた。




「…俺は、俺の今を生きていく」