消えることはない、だけど覚えられることはないまま過ぎ去っていくのだろう。
だけどそれでもいいと思う。
それでいいと思う。
たった一瞬でも、輝く瞬間があるのなら。
…そしてその瞬間にでも、君が願いを掛けようとしてくれるのなら。
「30年後か40年後にさ…」
「うん」
「地球に有り得ない大きさの隕石が墜ちてくるかもしんないんだって」
「っ、ええっ!?」
柚の目が、暗闇でもはっきりと分かる程に見開かれた。
「え…ちょ…本当!?」
「痛…腕を引っ掻くな」
「じゃああたし達、死んじゃうの!?」
俺は柚の手を軽く掴んで、押さえてから。
「その隕石は原爆七個分の威力らしいから…危ないかもな?」と意地悪く続けた。