何も焦る必要なんてない。



帰ったら…走れる。



これから先もずっとずっと…俺は陸上部の皆と走っていくんだ。



そして傍には柚がいて。




風に…身を包んで。




願わくば…




「…日向?」


「俺、外出てきます」



カタン…と雑談広場の席を立って。



涼しい夜の空気に触れるために、裸足のまま外に出ることにした。






「は…」




…夜、十時頃。



いくら夏の夜は明るいと言っても、さすがに外は真っ暗だった。



山奥は星が綺麗に見えるから、嫌いじゃない。



…満天の星を観察。



縁側のような場所に座ってから、もう一度見上げた。