…これだから、日向はずるいんだ。 なんでも一人で知り尽くしちゃって。 「それより、さっき言い掛けてたこと…」 「ん、やっぱりいい」 な、何それーーーっ… …だって凄くいいムードだったじゃない!(先輩…呪う…) ショックのあまりに白目を剥きそうになったあたしに向かって、日向は軽く微笑んだ。 「…今は、いい」 「え…?」 「やっぱり勝ってからじゃねぇとな…」 勝ってから。 絶対勝つから。 …あたしの髪を撫でた日向の、その手の温もりを。 「もうっ…」 …とりあえず信じてみようと、思った。