――…戻らないものよりも、戻ったものを。



過去よりも、未来を。



闇よりも、光を。



涙よりも、幸せを。






…本当はね。

そんな風に、綺麗なものだけを見つめて生きてゆきたいよ。






――――「最後に一つ。…君にだけ、聞いておいて欲しいんだ」


「…え…?」


「日向君は…アスリートを目指しているのかな」


「はい…負傷する前は…そう言ってました」


「その夢の可能性は…早くに諦めた方が、彼の未来のためになるかもしれない」


「え…」


「また今後何が変わるか分からないから、確かだとは言えない。


だが彼がアスリートとして成功出来る可能性は…恐らくゼロに限りなく近い」――――





゙可能性はゼロに近い゙



…そんな言葉は、封印してしまいたかった。



だけど…




…難しいね。



言葉は封印出来ても、残された現実や痛みは…




…ずっとそこに残り続けてしまうから…