「俺の夢はさ…ついこの前、ホント最近に見つかったんだよ」



部活が終わった後、拓巳と一緒に病院への道を歩いた。



季節は、冬。



…吐く息は少し白くなり、夜がやって来るのが早くなった。



「え?そうだったの…?」


「日向の担当医の先生にさ、もう凄い感銘を受けたんだ」



微笑む拓巳の言葉に、頷いた。



…あの人が、日向を見てくれて良かった。



生意気だけどそう思うくらいに、立派な先生だった。




「今だから言えるけどさ。



日向の記憶に俺の存在が無いって分かった時…俺、病院のソファーに座って泣いてたんだ」


「っ…知らなかった…」


「そしたら、その先生が通り掛かってさ」



拓巳は一度言葉を切って、ゆっくりと…大切そうに続けた。