そしてその微笑みも…




「…俺、もうたくさん柚に幸せを貰ったから」


「ひな…」


「だから…柚も、柚自身の幸せを掴め」



あたしの手に、温かい手が重なった。



そして愛しく、愛しく握り締められた。




「あたし自身の…幸せ?」


「…俺も、俺の幸せを掴むから。






だから…前に進もう?」




"進もう"



互いの道に…



前へと、ただひたすら前へと…






……涙は、それ以上は零れなかった。



日向に優しく髪を撫でられているうちに…不思議と気持ちが落ち着いていたから。



「うん…進まなきゃね…」