"大丈夫だよ"
その言葉は心の底で跳ねて、不思議と優しく響く。
「…ひな、た…?」
「…なぁ、柚」
あたしを抱き締めたまま、日向は静かに続けた。
「柚にとって…"幸せ"って何?」
「…え…?」
"幸せって…何?"
…幸せって……
幸せ、って…
「っ…そんなの…」
ぎゅっと、日向の腕を握った。
涙が…思わず零れた。
…ずるい。
日向はずるい…
ずるいよ…
「わ…分かってるでしょ…?」
"日向が笑ってること"
"日向が幸せなこと"
あたしは…それだけをただ願って来たんだ…
「…柚」
「ーっ…?」
「もう充分だ…ありがとな」
あたしの涙を優しく拭った、温かな手の感触。
夢だと思うには…あまりに確かで、優しかった。