「……ん…」
…いつのことだっただろう。
夢を見た。
悲しいのに…凄く温かい、夢だった。
凄く凄く…優しい夢だった。
「日向…?」
「ん?」
「…良かった。いた…」
何故だか、夢の中のあたしは不安だった。
病室の扉を開けたら…そこには日向がいないような、そんな気がした。
「何が"良かった"んだよ?」
優しく笑いながら、日向はあたしの髪を撫でてくれた。
…温かくて、幸せな温もり。
「ん…大丈夫だよ」
「…うん。大丈夫、だよな?」
ゆっくりと…顔を上げたその瞬間。
…日向に、抱き締められた。
「っ…」
「もう…大丈夫だよ」