日向は呆れたように笑って、少し懐かしそうな目になった。
「昔、自分で勉強したんだよ。
…トップアスリートになったら、海外に行くから必要になるって思ってたんだよな。
気、早いだろ?」
「小さい頃ってそんなもんだよな」
ちゃんと笑えていたのかが、気になった。
…トップアスリート。
日向の夢が、少しの痛みを持って心に突き刺さった。
同時に…自由を奪われた日向の足が、視界に入った。
「っ…」
「お、そろそろリハビリの時間」
「じゃ俺も…帰るわ」
「学校に戻れよ!」
日向の突っ込みに笑って、俺は椅子から立ち上がった。
「車椅子に乗るには、どう手伝えばいい?」
「あー…それは、自分で出来るから要らねぇよ」