「は?窓の…外?」
怪訝な表情が崩れないまま、俺は受話器を隣のデスクに置いて。
…ベッドの端に座ったまま、窓に手を掛けて開いた。
冷たい風が入ってきても、ジャンパーを羽織っているからそこまで寒くない。
「…何、考えてんだか…」
でも予想はついていた。
柚のやりそうな、ことなんて。
「ひーなたーっ」
……ほら。
数分後、外には予想通り柚の姿があった。
ジャージ姿のまま、息を切らせて。
…でも満面の笑顔で、俺に両手を振っていた。
「日向っ!あたしが見えるー!?」
「…バカ」
本当…バカにしか見えないんだよ。
もう夜だし。
他の患者にも聞こえてるし。
……バカ、だよな…