「…頼むから…動いてくれ…」
頑張るから…
努力するから…
朽ちるまで、諦めないから…
…もう柚を、泣かせないから。
――――――
――――
…その記憶は優しく、温かかった。
「ヒナタっ」
「なんだよ、ユズ」
「…ヒナタの夢って…なぁに?」
…その日の夜。
あの日のことを…ふと思い出したのは、何故だろう。
俺は、何て答えたかな…
「トップアスリート」
「やっぱりね」
「やっぱりってなんだよ」
「スポーツバカのヒナタには、それしかないと思ってたよっ」
くすくすと笑う柚の表情まで、不思議と鮮やかに思い出せる。
「なんだよ、バカって」
「本当のことだもん」