黙って話を聞いていた彼女は、不意に口を出さずにはいられなくなった。
「足を失って…他にどんな道があるって言うのよ」
「道はいくらでもあるよ。…作ろうと思えば、ね。
…one more sugar please,boy?」
通り過ぎたボーイを呼び止めて砂糖を追加すると、"柚"は目を伏せて再びアイスコーヒーをかき混ぜた。
「でもね…確かに、そこが問題なんだ」
「…え?」
「小さい頃に…日向が、もう一つの夢を語っていた気がしたの」
でも、それが何なのか思い出せない。
…柚は目をきつく閉じて、もどかしそうに首を振った。
「もう…忘れなよ、柚」
「…」
「彼はもう…いないんだよ」