そうしない限り…日向に会う資格はないんだ。
「なぁ真琴…本気で、そう思うのかよ?」
「っ…」
「日向が…あいつが…"もう走る気はない"って…"もう戻ってくる気はない"って…本気でそう思うのかよ…!?」
雄大先輩に肩を強く掴まれた真琴先輩は、きつく目を閉じた。
…閉じたその目の間から、一筋の涙が零れ落ちた。
「そんなわけ…ないよな?」
「…っ、悪かったよ…」
「…走りたくても、走れない。
戻りたくても、戻れないんだよ…」
日向の…ぶつけようのない苦しみを、悲しみを。
…その時初めて、ちゃんと知ったような気がした。