「輝崎(てるさき)拓巳」
「はいっ」
「県大会出場、おめでとう」
「ありがとうございます」
拓巳は予想以上に実力を伸ばして、秋の県大会に出場することが決まった。
驚いたのは、拓巳本人よりも先輩達の喜び様が凄かったこと。
「やったな、拓巳!」
「さすが俺の後輩っ」
…相変わらず隆史先輩は、受験もほったらかしたままここにいる。(無論、他の三年生は受験勉強中)
「先輩、受験…」
「柚ちゃーん。それは聞かなくていいんだよ」
いや、良くないと思うんですが…
…人差し指をチッチッと振って、あくまでもクールを装う先輩に掛けられる言葉など何もなかった。
「はぁ…」