あたしは残酷ですか…?
愚か、ですか…?
「…日向が走ることを…諦めたくない…」
「…っ」
「日向言ったじゃない…!
一瞬一瞬の大切さを身を持って感じられるから…風になれるから、それが幸せだから陸上が好きなんだって…!」
ほとんど涙声だった。
自分でも、何を言ってるのかよく分からないまま…ぎゅっと日向の腕を握り締めていた。
「ゆ…」
「諦めないでよ…お願い…グラウンドというあんなに小さな世界で、あんなにも輝いてた日向を…もう一度あたしに見せてよ…」
"我が儘でごめんね…"
"辛いのは日向なのに、あたしが泣いちゃってごめんね…"
…あの時そう、言えなくてごめんね…