少しずつ外は暗くなり、部屋は影を増してゆく。



横顔は夕陽に照らされ…日向は冷静な瞳のまま、静かに頷いた。





「早かった…だろ?」


「っ…」


「…記憶が戻るということは、もっと幸せなことだと思ってた。


もっと温かいことだと思ってた」




…でも実際は、違った。




そう日向は消えそうな程に小さな声で呟いた。



「初めて、"足"を失ったことを知らされたような気がしたんだよ」


「ひな…」


「…本当、ありえねぇ…」




唇を噛んで、涙を零す日向を。



…抱き締めることも、出来なかった。



「ーっ…」




日向は…



二度、"足"を失ったんだ…




…もう走れないって知りながらも、生かされている。



そのことが苦しくてたまらないんだ…