「…来んなって、言ったのに」
「だって…」
行かずには、いられなかった。
会わないと…死んでしまいそうなくらいの、思いだった。
久しぶりに会った日向は、車椅子に乗ったまま黙って窓の外を眺めていた。
「…リハビリ、頑張ってる…?」
「リハビリ?…そんなの、意味ないだろ」
「え…」
窓から入ってくる夕陽の光に照らされた病室はオレンジ色に染まり。
…日向の髪も、柔らかい色に染まっていた。
だけど振り向いた日向の表情は…今までに見たことがない程、冷たかった。
「ひな…た?」
「知ってるはずだろ?
…どんなに頑張ったって、せいぜい"歩ける"程度なんだよ」
その声は、悲しみに満ちていて。
…あたしはぼんやりと、それを悟っていた。
それは望んでいたはずなのに怖い答えだった。