自然と笑みが零れてしまう。
…なんだかんだ言って…皆個性的で、だけど陸上に対しては誰よりもまっすぐで…あたしは大好きだ。
「けどさ、日向ってバスケ部や野球部からも勧誘あったんだろ?」
水を飲みながら、隆史先輩が思い出したようにそう聞いた。
「あー…まぁ…」
「それでも陸上以外には全く気持ちが動かなかったと?」
先輩に聞かれて、日向は少し頭を掻いた。
「まぁそういうことに…」
こういう時の日向は結構しおらしくなって、なんだか可愛いと思ってしまう。
「んー…なんというか…いや別に、他のスポーツをけなしてる訳じゃないけど」
そう前置きして、日向ははっきりと続けた。
「俺にとってはやっぱり陸上が最高のスポーツなんで」