「…」
いつの間にか、病院の前に来ていた。
もう何時間こうしているだろう。
目の前の白い建物を何度も見上げては、ため息をつくばかりだった。
…拒まれてるのに入ることなんて出来ない。
そんなの…日向を傷つけるだけに決まってる。
そう考えると、どうしても一歩が踏み出せなかった。
だけど…帰ることも出来なかった。
「どうしよ…
っ…?」
小さく呟いた、その時。
…爪先にトンと軽い衝撃を感じた。
「あ」
転がってきてぶつかった、薄汚れた白いボール。
それを拾うと、「ありがとうっ」という可愛い声が聞こえて。
病院の中庭の方から男の子三人が走ってきた。