柚の体が強張って、その目が潤み出す。
「あ、悪い。つい…」
「…っ」
「柚、ごめんな」
「…っ、やっぱり…」
「柚?」
「あなたは…日向だよ…」
柚はそう呟くように言ってから、不意に抱き付いてきた。
ぎゅっと服の裾を握り締めて、俺の腕の中に華奢な温もりを預ける。
…初めてされる行為、のはずなのに。
不思議と全く不快ではなかった。
…むしろ、懐かしい感覚さえした。
「…柚」
「日向…っ」
もどかしい気持ちだった。
だけどどうしても、その先は思い出すことが出来ず。
…ただ柚の温もりが、無性に愛しくて懐かしかった。
俺の腕の中で、ほんの少しだけ震えている小さな体を。
…少し強く、抱き締めた。