「150センチの……その子とは、付き合ってたわけちゃうねん」


「え……」


「色々事情があって、オレはアイツに自分の気持ちを何一つ伝えられへんかった。
けど、すげー好きやった。大切にしたかったし、彼女を傷つける全てのものから守りたい……なんて、ヒーロー気取りやった。
今考えたら、そんなんエゴでしかない。彼女のためにそうしたかったのか、自分のためにそうしたかったのか……。
けど実際、高校生のオレにできることなんか何もなかった……」


「うん……」


「何もできへんかったから、後悔ばっかりが残った。なんていうか、クサい言い方すれば、“不完全燃焼のまま終わった恋”っつの?」


「不完全燃焼?」


「うん、だから今でも好きとかそういうのとは違うねん。
例えていうなら……未開封のお菓子の袋をずっと抱えてるような……そんな感じ」


「未開封のお菓子……」


「そ。で、時々、胸の奥から取り出して思うわけ。

『ひょっとして、開けたら、今でも甘い香りがするんちゃうか……』って」