――ドクンッ……ドクンッ……


至近距離にイッペー君の顔。

こんなの平常心でいられるわけない。

あたしの心臓、壊れちゃうんじゃないかってぐらい、早く脈打つ。



「ね~。なんか音しなかった?」


廊下から女の子の声が聞こえる。

その声に、また別な意味でドキドキが増す。


どうしよう……。

もしも見つかっちゃったら。


あたしの体は小刻みに震えだす。

それに気づいたのか、イッペー君はあたしの手首を握る力を強める。


――大丈夫だから。


そう言われてるような気がした。