胸がギューってなって……

息が止まりそうだった。


なんとなくだけど。

なんとなくだけど……イッペー君は今でもその子のことを想ってるんじゃないか……ってそんな気がした。


彼女のことを考えて、この教室で一人、月を眺めていたんじゃないかって。


――どうしよう。

あたし、余計なこと聞いちゃったんだ……。



「ちょ……どうしたん?」


イッペー君が慌てる。

あたしがポロポロと涙をこぼしていたから。


「ごめっ。ごめ……なさい」


涙を拭いながら、言葉にならない声で何度も謝った。