「うん」

コクンとうなずく。

それから、一歩。

教室に足を踏み入れると、後ろ手にドアを閉めた。


なんだか緊張しちゃって。

あれ?

歩行ってどうやるんだっけ?

って、そんな感じ。


もしかしたら右手と右足、同時に出てたかもしれない。


二歩、三歩と……ぎこちない歩き方で足を進める。



なんとか窓際までたどり着くと、イッペー君が空を指差して言った。


「見てみ? めっちゃ月キレイやで」

「ほんとだぁ……キレイ」