「ん? 何が?」


不思議そうに小首をかしげる芙美。

その隣には、芙美の彼氏、小久保(コクボ)君が立ってる。


後夜祭ってのは、カップルのためのイベントなんだとつくづく思う。

付き合ってる人がいる子はみんなその相手と一緒に過ごす。


付き合ってなくても、こういうシチュエーションって告白の絶好のチャンスなんだよね。

雰囲気に呑まれちゃうのか、これをきっかけに付き合いが始まる……ってパターンも多い。

周りを見渡してもカップル率高し。


そんな中、芙美と小久保君にくっついてるあたしは、文字通りお邪魔虫なのだ。


「あたし……やっぱり……」


と言いかけたところで、グランウンド正面では軽音楽部によるバンド演奏が始まった。


それは後夜祭の始まりの合図。


「ヒュ―――!」

って、みんなの歓声が一斉に上がる。

そしてそれぞれが花火に点火。