「なんだー? これ? ね?」


プリントを指でつまんで、ヒラヒラさせながらクルリと振り返ったのは、大木戸芙美(オオキド・フミ)。


「だよねー。ヘンな課題」


「ま、でもイッペー君らしいっちゃらしいよね」


「うん」



あたし達は目配せしてクスクス笑いあった。




「イッペー君!」


中庭の方から響く声。


「何あれー。結局やってんじゃん、雪合戦。ほらっ、愛子、見てみ?」


芙美が窓を開けて外を覗き込む。

見れば、男子と一緒にはしゃいでいるイッペー君の姿。



「こうして見てるとさー。ほんとイッペー君って生徒の中にいても違和感ないよね。むしろアンタ高校生だろって感じ」


「だねー。子供みたい」


てか、むしろ犬?


尻尾フリフリ。

ワンコ……的な感じ。