「やりっ、勝ちー!」ってガッツポーズするイッペー君。


「ひど……」

って、しょんぼりするあたしに、イッペー君はにっこり微笑む。


「まぁま、また半分やるから。明日の補講も出てこいよ。一緒にアイス食べよ」


「……先生

それってじゃんけんの意味なくない?」


「……あ」



――ジージージー

相変わらずセミの声が響く。



顔を見合わせて

プッ……って二人同時に吹き出した。




じゃんけん勝ったヒトと負けたヒト。


振ったヒトと振られたヒト。


先生と生徒。


それがイッペー君とあたしの関係。



奇妙な奇妙な……

でもこういうのもアリかもな……って思った。


だけどやっぱり切なくて

胸が痛い夏の日。