「すっげ! お前、これ当たってるやん!」


顔を覆っていたあたしの右手を掴んだかと思ったら、それを掲げる。

見れば手の中にあるアイスの棒に“あたり”って文字が印刷されてる。


「えっ……えっ。当たり? ウソ! 全然気づかなかった」


「いやぁ……すげーな、オレ。なんか最近、くじ運ええねんなぁ……」


とか言いながら、イッペー君はさりげなくあたしの手から棒を抜き取ろうとする。


その手をあたしは左手でがっちり押さえる。


「ちょ……さりげに何やってんの! これ、あたしんでしょ?」

「はぁ? オレが買ったんやから。当然オレんやろ!」

「信じらんないっ。あたしが貰ったんだから、あたしのですー」

「オレのや!」

「ちょっと! 大人げないにもほどがある!」

「じゃあ。じゃんけんで勝負や!」

「受けてたつ!」

「じゃーんけーん!」

「ポン!」