「も、いいよ」


あたしは両手で耳をふさいだ。


「聞きたくないっ。返事なんてわかってるし」


口を開いて何か言いかけたイッペー君。

あたしは聞こえないようにと「あーあーあー」と叫ぶ。


イッペー君はあたしの手をつかむと、そっと耳から離した。

そしてじっとあたしの顔を覗き込む。



「ありがとうな」


「え……」


「……それとごめん」