ズズって鼻をすすって、涙をぬぐうと、慌ててイッペー君とは反対の方に顔を向けた。

きっと今ブス顔だから。

一晩泣き続けて、目なんてメイクでは修復不可能なぐらい腫れぼったいし。


「あー……ごめんな」


そしてもう一度謝るイッペー君。


「許さない」


プゥっと頬を膨らませたその瞬間。



――ピトッ

「ひやあああ」


ヒヤリとあたしの頬に冷たいものが当たった。


思わず振り返る。


目の前でゆらゆら揺れているもの。

イッペー君がアイスキャンディーの袋を指でつまんでプラプラさせていた。


「ほんまごめんって! これで機嫌直してって! な、サクラん!」