「いいよ。吸っても。内緒にしててあげる」

ふふふって笑ってそう言うと、

「いやいや、そういうわけにもいかんから」ってイッペー君は頭を振る。




そして、カチカチとライターの蓋を開けたり閉じたりしてる。


――あれ?

帰らないのかな?

席、立たないの?


不思議に思いつつも、せっかくだからと、あたしは目の前のイッペー君を鑑賞することにした。


「あー……夏休みだねぇ……」


イッペー君は窓の外を眺めてポツリと呟く。


そしてライターを持っていない方の手で、ダルそうに頬杖をつく。


イッペー君って、体のわりに手が大きいような気がする。


イッペー君の指、好き。


チョークを軽く持ってるところが好き。

ライターの蓋、カチカチする手つきも好き。

長い指でトントンってノートをつつくとこも好き。


――この指で触れられたら……


あたし

きっとどうにかなっちゃう。



“キュン死”どころの騒ぎじゃない。

多分……溶ける。