きっと今、あたしの頬は緩んでいる。


傾きかけた日差しがあたしとイッペー君を染める。


このまま時が止まってしまったらいいのに。



窓枠に手を置き、外を眺めているイッペー君。


拳1つ分のスペース。

あたしの手をほんの少しずらせば、彼の手に触れることができる。

その距離に……またドキドキが増す。

緊張で冷たくなった手で窓枠をギュッと握り締めた。




この空間に鍵をかけて、誰も踏み込めないようにして、

イッペー君を閉じ込めてしまいたい。

そんなことを想像する。


この感情を恋と呼ぶのならば……


きっと


あたしの心臓……


いくつあっても足りない。


どうしよう。


恋が。


――恋が、動き出してしまった。