「んー? オレ? オレは170……ってん、ご」


イッペー君は『てん、ご』のところだけ妙に強調して言う。


「『てんご』は大事?」


「超大事。男にとっては死活問題」


「あはははは」


今度はあたしが笑う番だった。


イッペー君は少し腰をかがめて、顔の位置をあたしの顔の位置と合わせる。

そしてまた中庭を眺める。


「これがサクラの目線やな」って。


「昔……サクラよりさらに5センチぐらいちっこいヤツがおってな」


「昔……って、いつの話?」


「え? ああ……。高校生ん時……って、オレなんでこんな話してんやろ。ごめんな、やっぱ、今のなし!」


「え! 聞きたい! 先生の高校生の時の話」


「んー、じゃぁ……」


って、イッペー君は話を続けた。