見上げるとすぐそこに、イッペー君の顔。


「おわっ」


失敗。

びっくりしすぎて、可愛くない声出しちゃった。


「ボケっとすんなよー? サクラ、お前も、雪合戦したかったんか?」


「いえ……すみません」



気の利いた返しもできず、真っ赤になってるであろう頬を教科書で隠した。


こんな場合、関西人なら上手くボケたりつっこんだりするのかな?


中学まで大阪に住んでいたらしいイッペー君は、大阪弁を話す。


それが良い!

……と女子生徒には評判。



独特のイントネーション。

イッペー君の口から紡ぎだされる“アホ”は、まるで5段活用みたいにバリエーション豊富。


アホ

アホか

アホちゃう

アホやろ

アホやなぁ


って。