あたしの髪よりも太くて固くて……ほんの少しクセがある。

ワックスつけてるのかな。

ちょっとゴワゴワしてる。



自分から近づいて、髪まで触ったくせに、今さら後悔。


ヤバい……近づきすぎた。


焦ったあたしは、イッペー君の髪からパッと手を離して、会話の糸口を探す。


「先生……寝てたの?」

「はい。……少々」


って、ちょっとは否定しろよ!

なんて突っ込みたくなる。


空き教室で居眠りしてたなんて、他の先生に知られたら大問題だと思うけど。


イッペー君は特に悪びれる様子もなく、腕をうーんと伸ばす。

そして、ふああああと大きなあくび。

さらには首をコキコキと鳴らす。


相変わらず髪は跳ねたまんまだ。


ミスター☆マイペース。