あたしは教室の中に入って、床にペタンと座ったまんまのイッペー君を見おろす。


――あ、つむじ発見。


こんな角度からイッペー君を見るのは初めてで、なんか新鮮。

というか、無防備。


「……せんせ……髪、跳ねてる」


そう指摘すると


「あー……マジ?」


イッペー君は、手で髪を押さえるしぐさをする。

だけど、跳ねてるところとは反対側の髪を触ってる。


あー、もぉ。

ほんと手が掛かる先生だなぁ。


「違う違う、こっち!」


あたしは座り込んでイッペー君と目線を合わせると、ピョンと跳ねた髪に触れた。


うわ……イッペー君の髪……触っちゃった。