掃除や植木の手入れをする道具が収納されている用具入れは、あたし達二人の姿を隠すには充分すぎるぐらいの大きさがある。

屋根のひさしが目隠しになって、校舎内からも見えない。


ここは完全にどこからも死角になっていた。


きっと誰もあたし達がここにいることに気づいていない。


にぎやかな中庭の中でここだけが異空間みたいだった。


後夜祭の空き教室。

二人っきりで身を隠していたあの時のことを思い出した。


あの時と同じぐらいの距離にイッペー君がいる。

ずっと触られたままのシュシュから、イッペー君の熱が伝わってきているような感覚。


どうしよう……。

ドキドキする。


きっと耳まで真っ赤になってる……。



「せんせ……今度は赤だよ?」