言えた。

全部言えた。

これがイッペー君の望みなんだよね?



なのに、イッペー君は眉間にしわを寄せる。



「……違う」


「えっ?」


「そうじゃないねん」


ちょっとイライラした感じであたしを見つめていたイッペー君は、その表情を歪めた。



「違うねん。困ってたわけじゃない」


「じゃ、なんで……? なんでいつもライターカチカチしてたの?」


「……それ、今、言わせんの?」


「どういう意味?」と言いかけた時



「赤―――!!」


鬼が変わったのか、また誰かが色を叫ぶ声が響く。