涙が乾くのを待って、あたし達は屋上を後にした。



1階に下りて下足室に向かうために、渡り廊下を通った。


「そういえば、6月生まれはどうだったの?」


芙美の誕生月は6月だ。


「それがさぁ……なんと、1位なんだよね。ちなみに、ラッキカラーはコレね」


ちょっとニヤけながら、芙美は指をそろえてあたしに見せる。


そこにはベビーピンクみたいな春らしい優しい色のネイルが施されていた。


「えっ。朝から家でわざわざ塗ってきたの?」


「まさか。そんな時間ないし。電車の中で塗った」


「うっそ! それ、超迷惑じゃん」


「うん。前に立ってたオヤジが超迷惑そうな顔してた」


「もー。そういうのダメだよー!」


なんて注意してみても、「だってラッキーカラーだもん」って指をかざしてうっとりしてる。