夏休みの補講の最中に告白してしまったこと。

その時に振られたけど、諦めきれなかったこと。

それからつい最近、もう一度はっきりと振られたこと。

そしてイッペー君がどんな風に生徒を大事に思ってくれてるかっていうこと。


芙美はあたしの言葉一つ一つをかみ締めるように、

時折うなずきながらずっと聞いてくれていた。



「そっか……。それでここんとこ、イッペー君のこと、避けてたんだ」


「うん。
あたし、ちゃんと“生徒”になる。
それがイッペー君の望みだってわかったから。
あたしがちゃんと卒業するのを見届けてもらえれば……もう、それでいいんだ。
だからもう諦めようって思う」


「……諦められる?」


心配そうにあたしを見つめる芙美。

その目があまりにも優しくて、せっかく固めた決意がまた揺らぎそう。


あたしは本音を隠して、無理やり笑顔を作った。


「うん。もう決めたから。もうイッペー君の負担にはなりたくない」