最後の方は上手く言葉になっていなかったかもしれない。


初めて名前を声に出して誰かに言った。


“イッペー君が好き”って。


その瞬間、ちょっとだけ肩が軽くなったような気がした。

ずっと抱えていた重い荷物を誰かに持ってもらったような感覚。



それは口にしてみれば、特別に重い言葉でもなく、ただ、それだけのことだった。


きっと物事を複雑にしていたのはあたし自身。


口の中の飴はごく普通の味だし。


いくらごまかそうとしても、あたしがイッペー君を好きだという事実は何も変わっていなかった。