――ドクンッ


大きく心臓が脈うって、あたしの体は一瞬固まった。


返事をしないあたしの顔を芙美はまっすぐに見つめる。


途端に芽生える罪悪感。


きっと芙美はもうわかってるんだ。


ずっとあたしが隠していた気持ちを。


「……芙美ぃ」


「ん?」


「ちょっと待って……。
今、頭ン中整理して、それから話すから……」


「ん。ゆっくり考えてみ」


優しい目で微笑んでから、芙美はまたふいっと空を見上げた。


あたしに考える時間を与えるために。



カーディガンのポケットにすっと手を伸ばす。


ポケットには以前、イッペー君からもらったガムが1枚、そして、のど飴が2つ入っている。


のど飴を2つ、ギュッと握りしめて取り出す。


そして、1つを芙美に差し出した。



「芙美、これ食べて?」

「へ?」