あたしと芙美は屋上に向かった。


ドアを開けた途端、眩しい日差しに目を細めた。

屋上はすっかり春って感じのポカポカ陽気に包まれていた。



「なんか、春の匂いがするー」


うーんと伸びをするあたし。


「あ、なんかわかるわかる。ちょっと埃っぽいっていうか、春の匂いってあるよね」


芙美も同調してくれた。


あたし達はフェンスを背もたれにして、腰を下ろした。



空を見上げながら、芙美が口を開いた。



「菊池から聞いたよ―」