最後の挨拶もイッペー君らしく、あっさりしたものだった。


「次は担任になるの?」とか

「3年生を受け持つの?」

とかいうみんなからの質問には


「さぁ。どうやろうなぁ……。新学期をお楽しみに」

って、曖昧な返事しかしてくれなかった。



式の後もイッペー君は生徒達に囲まれていた。


みんなが順番にイッペー君と写真を撮っている。

その横をあたしは素通りした。


芙美がすぐ後ろをついてくる。


通り過ぎる時、芙美が「イッペー君! バイバイ!」って手を振ると、イッペー君は「おう!」って手を上げていた。


あたしは何も言えなかったけど、芙美に便乗してペコリと頭を下げると教室を後にした。