途端に静まり返る教室。

山本先生は目を吊り上げて、教室内をジロリと見渡す。


「ほんとに、E組は……」そう呟くと、そのままドアを閉めて行ってしまった。


「イッペー君、後で怒られる?」


心配そうに呟く誰かの声に

イッペー君はなんでもないよって感じで眉を上げた。


そしていつものように冗談っぽく言う。


「もう、怒られ慣れたわっ! お前らのせいでっ」


その言葉にまたみんなでクスクス笑った。


気がつくとあたしの涙もいつの間にか乾いていて。


すっかり油断していたあたしは、一瞬だけイッペー君と目が合ってしまった。


イッペー君はフワリと微笑みかけてくれた。

だけどあたしは慌てて目をそらす。


それが最後。

その後はイッペー君と目が合うことは一度もなかった。




そしてとうとう終業式の日がやってきた。