一瞬、驚いたような顔をした菊池君に、あたしはヘヘっと笑う。


「でもいいの。自分で決めたことだから。後悔してもいいんだ。
……なんてね。真崎先生のうけうり」


「なんだよソレ。わけわかんね。お前ってM?」


菊池君は眉をひそめる。

そして

「お前のそういう、ちょっと変わったとこが好きだった」と笑った。


「何それ? あたし変わってる?」


自分ではよくわからない指摘をされて、あたしはキョトンとする。


「うん、変わってるよ。時代劇マニアの女子高生とかありえねーし」


菊池君は呆れ顔でそう言った。


そして聞こえるか聞こえないかぐらいの小さな声で「お前みたいなヤツあんまいねーよ」って呟いた。