そうか。

今になって気づいた。

プリントを提出した後、菊池君が口にしたセリフ。


「オレなりの宣戦布告」って。


あれは菊池君が勝手にイッペー君をライバル視して。

だからあんな言い方をしたんだ。



「オレの席からだと、お前が“アイツ”を見てる時の表情が丸見えなの」


菊池君はちょっと呆れたように眉毛を上げて「んなの、バレバレだっつの」ってブツブツ呟く。


「だけど、そんなんうまくいくわけねーだろって思ってた。
だから、オレがお前のことなんとかしてやりてーとかヘンな使命感?みたいなもん湧いてきて……」


「……」


「それに……」


と菊池君はポリポリと首の後ろを掻く。


「今言わなきゃ絶対後悔するって思って……。3年になったらクラスも離れるだろうし」



「うん……」



「玉砕覚悟だったけどな」