イッペー君と食堂で話してから1ヶ月ほどが過ぎた。

制服は夏服に変わり、じめじめとした湿気の多い季節がやってきていた。


誰が言い出したのか知らないけれど。

その頃には、誰もがイッペー君を「先生」ではなく「イッペー君」って呼ぶようになってた。


だけど、あたしにはどうしてもそれができなかった。


どうして言えないんだろう。

その答えを探そうとするたび、あたしの胸は無意味にドキドキして。

だから気づかないように、触れないようにと心の奥にしまいこむ。


まだこの気持ちに名前をつけたくはなかった。


だって相手は先生だよ?


こんなの……ありえないよ。